曲げ加工で起こるスプリングバック対策とは?
曲げ加工の原理とは
曲げ加工は、素材となる鋼材をパンチとダイで両端を固定し、中央を直角方向に押すことで外側が伸ばされ、内側が逆に縮んで反る加工方法です。一見この鋼材を折り曲げる曲げ加工はシンプルな技法ですが、歪みの発生や曲げ割れ、スプリングバックといった不具合現象が発生するので精密な機械調整や寸法設定が欠かせない高度な技法です。曲げ加工製品の寸法安定のためにも金型製作時に精密な設計は重要となります。
スプリングバックの発生原因とは?
スプリングとは曲げ変形を起こした部分が元に戻ろうと曲げ角度が跳ね返ってくる現象のことです。先述のように曲げ加工は内側は縮み、外側は伸ばされるといった応力が働きます。この応力については、基本的には鋼材の引張強度と圧縮強度は異なりますので、ワークの外側が要求する曲げ角度に達した場合においても、内側ではまだ元に戻ろうと外側への応力が発生します。これがスプリングバックの発生原因となります。スプリングバックの量は一般に角度で表されますが、材質・板厚・加圧力・曲げ半径などの加工条件で変化するので、正確に予測することは困難です。例えば、SPCCよりもアルミ、アルミよりもSUSの方がスプリングバック量は大きく、板厚が薄いほどスプリングバック量が大きいです。このような現象によって曲げ精度が悪化する原因となりますので、必要な形状精度を確保するためにもスプリングバック対策をすることは必要です。
当社が行うスプリングバック対策とは?
板金加工で目的の形状を得るためには、スプリングバックを予測して補正する必要があります。ステンレス筐体板金.comを運営する新栄製作所では、スプリングバック対策として大きく3点に注意を払っています。
①あらかじめ曲げ角度を鋭角にする
当社ではスプリングバックは起きてしまうものと想定し、余分に曲げ角度を鋭角にします。そしてスプリングバックで増加した角度と合わせて、規格に入るようにしております。
②角度検出機による自動補正
当社が保有する曲げ加工機には、角度検出機が搭載されています。この検出機は曲げ加工中の製品の角度を検出して自動で補正してくれています。そのため、曲げ足りないことや曲げ過ぎることはなく、正確な角度出しが可能になります。
③曲げ加工を複数回に分ける
一度目は予備曲げとして、80°~ 90°程度曲げ、一旦加圧を緩めて故意にスプリングバックを起こします。そしてパンチを上昇させず、再度加圧を行う事で指定の角度を出します。